インプラント治療における合併症
インプラント治療は入れ歯やブリッジに比べて審美性に優れ、安定性も高く、日常生活への支障が少ないといった特徴があります。こういったメリットが多くある一方でいくつかのデメリットも存在します。
今回は、その中でも合併症について種類やどういった症状が起きるのか、その対処法などについて説明していきます。
インプラント手術は、合併症が起こらないよう細心の注意を払い、事前にいくつかの検査を行うなど適切な準備が必要です。検査を行うことによって、考えられるリスクをあらかじめ把握し、患者様にお伝えした上で今後の治療方針を決めていきます。
インプラント治療における合併症の一例
上顎洞炎(じょうがくどうえん)
上の歯の近くには上顎洞という部分があり、目の下に存在します。鼻で吸い込んだ空気も上顎洞を通ります。この部分は炎症が起きやすく、そこに近い場所にインプラントを埋め込む場合、上顎洞に炎症が起きてしまう可能性があります。これは主に細菌感染が原因であると考えられており、抗菌薬で対処します。しかし、症状が重篤である場合は、炎症を鎮めるための手術が必要になることがあります。
神経損傷
インプラント手術では専用のドリルで埋入窩を開け、そこにインプラントを埋め込みます。そのため、手術前に神経の位置をしっかり把握しておき、その部分を避ける必要があります。特に下の歯の場合は下歯槽神経という太い神経が通っているため充分に注意を払う必要があります。術前にCT画像を撮って神経の位置を把握してから行うため、傷つけることはほとんどありませんが、万が一傷付いてしまった場合は、痺れが残ってしまう可能性があります。その為当医院ではサージカルステントといわれる3次元的に長さ、方向等を正確に把握し安全にインプランと治療をして行っていますのでご安心下さい。
痛みや痺れが長期間続く
一般的にインプラント手術は骨の量が十分で行う本数が少ない場合は、痛みはそれほど強く出ることはありませんが、数日間は手術した場所が腫れたり、痛みが出ることがあります。ほとんどの場合は痛み止めや抗生物質を服用することで落ち着いてきます。
術後2週間を過ぎても痛みが続く場合は他に何か原因があるかもしれません。痛み止めを服用しても痛みが続く場合や痺れ等の症状があるときは早めに歯科医院を受診しましょう。
インプラント周囲炎
インプラントは人工の被せ物であるため、むし歯になることはありません。しかし、インプラントを支える歯ぐきは人工物ではないため、歯周病にはなります。これをインプラント周囲炎と言います。
これは歯周病菌が原因で起こり、磨き残しがついたままにしてしまうと細菌が増殖し炎症を起こします。症状が進行するとあごの骨を溶かし、インプラントを支えられなくなってしまいます。その結果、歯がグラグラし、抜けてしまうかも知れません。
しかし、インプラント周囲炎は自覚症状が少なく、出血や腫れに気づいた時にはすでに進行が進んでいることも少なくありません。天然の歯(自分の歯)の場合、歯根膜というものクッションの役割を果たす膜がありますが、インプラントの場合はその膜がありません。そのため、炎症をダイレクトに受けてしまうため進行が速いと考えられています。
インプラント周囲炎を防ぐためには、毎日の歯磨きと歯科医院での定期的なメインテナンス(クリーニング)できちんと汚れを落とすことが大切です。また、インプラントの不具合なども確認し、早期発見をすることで良い状態で長くインプラントを使い続けることに繋がります。
まとめ
インプラント治療には多くのメリットがある一方でこういったリスクがあることもしっかり把握し、患者さん自身で治療を受けるかどうか検討することが大切です。